褥瘡(基本編)
褥瘡とは
体重などで皮膚の一部分が長時間圧迫されることにより血行が障害され、皮膚や皮下組織、筋肉などが損傷してしまうこと。床ずれともいう。
褥瘡ができやすい条件
・自力で体位変換(寝返りとか)ができない→体重のかかる部位を調節できない
・骨が突出している(皮膚が薄い場合や褥瘡好発部位)→局所的に圧がかかりやすく褥 瘡になりやすい
・栄養状態が悪い→エネルギーが足りないため皮下脂肪や筋肉を代わりにエネルギーにしようとするため骨が突出しやすくなる+褥瘡ができた場合に治りにくい
・浮腫(むくみ)がある→浮腫があると皮膚が突っ張り耐久性が下がる→褥瘡になりやすい
・長時間の湿潤環境(おむつの使用や拘縮などで皮膚が密着している)がある→皮膚が湿ると弱くなってしまい褥瘡ができやすい
・摩擦やずれ→ベッドのギャッジアップ等で体がずれるなどして皮膚に力がかかり皮膚にダメージが出やすい(自力で体位変換ができない・マヒなどで正しい姿勢を維持できない)
褥瘡の予防
・定期的な体位変換
約2時間ごとに体位変換を行い、長時間同一部位に圧がかかるのを防ぐ
・褥瘡好発部位や拘縮などで密着している部分の除圧
クッションやタオルで浮かせたり、スペースを開けたりして圧がかかるのを防ぐ
・湿潤環境の改善
おむつの定期的な交換や密着部位の解除を行う。
褥瘡は予防が一番大切!!
褥瘡の治療
・除圧
発赤の段階であればしっかりと除圧を行えば改善することが多い。
・軟膏の塗布
ゲーベンやユーパスタ、アクトシンなど様々な薬効の軟膏があり、適応が異なる。医師の指示に従い毎日の洗浄と塗布を行う。発赤だけの場合でもワセリンなどの保湿剤を塗ることもある。
・貼付材の使用
デュオアクティブやハイドロサイトなどこちらも様々な種類がある。こちらは基本的にはがれたり溶けきったりしない限り交換する必要はない。毎日状態を確認しよう
・感染の予防
潰瘍など傷が開放的である場合、感染予防が重要。褥瘡に感染がおこると褥瘡の治療が長くなるほか、全身に影響が出る場合もあるため注意。
・栄養状態の改善
褥瘡ができる患者さんは栄養状態も悪いことが多い。栄養補助食品などで栄養を補填することがある。
・壊死組織の除去
壊死組織は細菌繁殖の温床になり、その上肉芽形成の邪魔になる。外科的に取り除くデブリドマンを行ったり、ゲーベンなど壊死組織を溶解する効果を持った薬品を用いて治療する。
褥瘡(基本編)まとめ
・自力で体位変換ができない+湿潤環境ができやすい+姿勢の維持ができない
→寝たきりの患者さんは特に発生しやすい!!
→浮腫がある場合や、栄養状態が悪い場合(経管栄養やCVの患者さんなどは栄養状態が悪いことが多い)はさらに注意が必要!!
・褥瘡の状態によって軟膏や貼付材など対応が異なる。
→医師の指示に従い、適切に処置を行う必要がある。それぞれの効能を理解して行うのがベスト。
・褥瘡は【作らない】が大前提
→褥瘡は予防が一番大切。体位変換をしっかりと行い、入浴やおむつ交換の際に皮膚を観察して、なるべく発赤の段階で対処しよう。